最近、とあるホテル専門学校に行き、教壇に立った際、生徒さんからこんな質問を受けました。
「やっぱり英語がしゃべれないとホテルで働くのは厳しいですか?」
おそらくこういった不安を持っている人、多いと思います。
僕は、私は「英語」がしゃべれない…
あくまで個人的な考えですが、英語は十分条件であって必要条件ではありません。
特に接客をするスタッフは必要かもしれませんが、英語が話せない人もたくさんいますよ。
Contents
ホテルマンに英語は必要か
まず大前提として「しゃべれる」に越したことはありません。
それだけサービスの幅が広がりますし、海外ゲストも安心です。周りからも頼りにされますしね。
英語が話せない人もいる
ただあくまで「英語がしゃべれる」のは十分条件なのです。しゃべれれば良いなー、くらい。
必ずしも「しゃべれなければいけない」わけではないのです。
実際、ホテルにいる人すべてが英語ペラペラなわけではありません。
ホテルにもよると思いますが、普段外国の方々と接する機会の多いフロントスタッフやベルスタッフでもしゃべれない人はたくさんいます。
逆にそんなに必要としない部署なのに英語がペラペラな人もたくさんいますけど。
ホテルによって英語の必要度は違う
もう少し具体的に見てみましょう。まず英語はホテルによって必要度が違います。
外資ホテルは英語の必要度が高い
言わずもがなですが、外資ホテルのほうが英語の必要度が高いです。
外資ホテルは日系のホテルと違ってヒルトンやリッツカールトンなど海外では親しみが深い名前ですよね。
したがってゲストも外国人の比率が多いです。その分英語が必要な場面が日系のホテルと比べて多いです。
また上司がそもそも外国人である場合も多く、ゲストと接する機会が少ない部署でもメールが英語で届いたり、社内で英語が飛び交っていたりします。
よって外資ホテルに入りたい場合は少し英語を勉強しておいた方が良いですね。
たしかに外資ホテルは英語を使う場面が多いですが、それでも英語を話すことができない人はいっぱいいます。
僕も外資ホテルでホテルマンをしていますが、外国の方々と接する機会が多い部署でも英語が喋れないスタッフを見かけます。
外資だからと言って必ずしも英語が必要というわけではありません。

ラグジュアリーホテルは英語の必要度が高い
次にホテルのカテゴリーから見てみます。
ホテルには価格帯、立地などを参考にビジネスホテル、アーバンリゾートホテル、ラグジュアリーホテルなど様々なカテゴリーに分けられます。
ビジネスホテル
駅の近く、ビジネス街を中心に建てられるビジネス客をターゲットにしたホテル
アーバンリゾートホテル
都心部や観光地近くに建てられた、ビジネス利用と観光客両方をターゲットにしたホテル
ラグジュアリーホテル
都心部の一等地に建てられた高級志向のホテル
これも言わずもがなかもしれませんが、ラグジュアリーホテルのカテゴリーに位置するホテルは他のホテルカテゴリーに位置するホテルよりも英語の必要度が高いです。
ラグジュアリーホテルは基本的に価格が高く、それに見合った高度なサービスの提供が要求されます。
なるべく流暢な英語で外国ゲストにストレスなくサービスを提供することがラグジュアリーホテルには求められます。
よって英語の必要度は高いです。
ラグジュアリーホテルに関しては、英語が必要条件になってくる場面が多いです。
ラグジュアリーホテルはその性質上、面接などもすべて英語の場合があります。
面接自体もなかなかシビアなので高度な英語が必要不可欠です。
もしラグジュアリーホテルで働きたい場合はそれなりの英語スキルが必要になりますので、しっかり勉強することをおすすめします。
部署別にみる英語必要度
英語の必要度は部署によっても異なります。
普段のお仕事で英語を全く必要としない部署もありますし。
ここでは部署別に英語の必要度を見ていくことにしましょう。
フロントスタッフ
フロントスタッフとはホテルの受付です。受付(フロント)でチェックインやチェックアウトなどゲスト応対や予約、お金の管理をする部署です。
フロント:Front Staff
ホテルの受付で宿泊予約・会計などの各種手続きを行うスタッフのこと
英語必要度レベル
フロントでは外国人ゲストが実際にチェックインに来たり、英語で応対する場面が多いので英語必須度は高いです。
ただベルスタッフに比べると、フロント裏でパソコン相手に仕事をする場面がありますので若干必要度は下がります。
フロントで使うと思われるフレーズを定型文として覚えておけば英語が話せなくてもお仕事することは可能です。
ベルスタッフ、ドアマン、ポーター
ベルスタッフとはホテルへ到着したゲストのお迎え、客室への案内、お見送りなどゲストが困っているときに実際に動いて問題を解決してあげるスタッフのことです。
ベル:Bell
ホテルへ到着したゲストのお迎えや客室への案内、出発時のお見送り、荷物の運搬などを担当するスタッフ
ドアマンは玄関前に立ち、リムジンバスの応対、タクシーの対応など玄関前専門のベルスタッフです。
ドアマン:Door Man
ゲストのお出迎え、お見送り、タクシーやハイヤーの手配などホテルの玄関前でゲストを一番にお出迎えするベルスタッフの名称
ポーターは荷物の運搬を主とするスタッフのことです。
ポーター
チェックイン、チェックアウト時に荷物の運搬を主な業務としたホテルスタッフ
英語必要度レベル
フロントスタッフと異なり、常時ホテルのロビーや玄関でゲストの対応をしているため高度な英語スキルが求められます。
ゲストからの質問にもスムーズに答えなければならないため英語は必須です。
何度も言いますがしゃべれないスタッフも当然います(笑)
英語に自信がないけどベルスタッフをやってみたい人は日々英語を少しでも勉強しましょうね。
オペレーター
オペレーターとはホテルにかかってきた電話の応対をする電話専門のスタッフです。
オペレーター
ホテルの代表電話にかかってきた電話の応対をする電話専門のホテルスタッフ
英語必要度レベル
代表電話には海外からも電話もかかってきますし、ホテルによっては客室からの電話も一手に引き受けているホテルもあります。
外国人ゲストの割合が多いホテルであれば、英語での会話、それも電話での会話が主な業務になるので英語は必須です。
ハウスキーピング
ハウスキーピングとは客室を専門に扱う部署のこと、客室で起こった問題の解決、リネン、アメニティの管理を行う。
ハウスキーピング:Housekeeping
客室管理部。客室のエキスパートのこと。部屋の清掃を指揮したり、リネン、備品、アメニティ、忘れ物の管理を行う。
英語必要度レベル
実際にゲストと面と向かって話す場面は少ないですが、忘れ物のお問い合わせや客室から部屋の使い方についての電話が入ったりします。
またメールのやり取りで英語を使う場面も多く、フロントやベルスタッフと比べると少ないかもしれませんが機会は多いです。

レストランスタッフ
レストランスタッフは実際に配属されたレストランで料理のオーダーを聞いたり、お皿を片づけたり、料理を並べたり、レストランのすべてを担っています。
英語必要度レベル
外国人ゲストからもオーダーを取るなど接する部分は多いです。
フロントと同じように定型文を覚えてしまえば何とかなりますが、料理に関しての質問をされたときにスムーズに返せるくらいの英語力を必要です。
キッチンスタッフ
シェフをはじめ料理を作るなどキッチンで働いているスタッフです。
英語必要度レベル
中にはゲストの目の前でオムレツなどを作るスタッフもいます。
焼き加減などゲストからの要望に応えるためにはしゃべれなくとも聞き取れる力は必要になります。
ルームサービス
ルームサービスは普通のレストランスタッフと違い、部屋での食事をサポートする部署です。
ルームサービス:Room Service
客室で食事ができるように料理や飲み物などを客室へ運んで用意するサービスのこと
英語必要度レベル
ルームサービスは部屋へ伺うので、普通のレストランスタッフと違い、部屋のことについて質問されたりと英語の必要度は高いです。
スチュアード
みなさん「スチュアード」って知ってますか?
スチュアードとは料飲の中でも、「食器類」の専門家、各レストランの食器類一手に管理する部署です。
スチュワード:Steward
食器、什器・備品の洗浄、またそれらのメンテナンスと管理を行う部署、または人。
英語必要度レベル
なのでどちらかというと「数字」に強い人でないとできません。
ちなみにうちのホテルは上司が外国人であることが多く、スチュアードの人が頭を抱えているのを良く見ます。
営業、セールス
営業、セールススタッフは国内、海外問わず、団体で利用してくれそうな個人、法人に対しホテルの宿泊、宴会を使っていただくよう営業するスタッフのこと。
英語必要度レベル
国内営業の場合は英語を使う場面はありませんが、海外に営業をかける場合は必須です。
また専門的な用語も知っておく必要がありますので高度な英語スキルが要求されることがあります。
宴会、バンケットサービス
宴会、バンケットサービスとは、一般の宴会やパーティー、結婚披露宴などの準備、サービス、片付けを一手に担うスタッフのことです。
バンケット(宴会)サービス
一般の宴会やパーティー、結婚披露宴などの準備、サービス、片付けを一手に担うスタッフのこと
英語必要度レベル
外資ホテルは特に海外のイベントが絡む場合が多いので英語が使えればありがたい場面があります。
宿泊、レストラン予約
宿泊、レストラン予約は予約サイトやメールなどを通して予約されたゲスト情報を新規予約として立ち上げ、ホテルのシステムに反映するスタッフのことです。
宿泊、レストラン予約:Reservation
予約サイトやメールなどを通して予約されたゲスト情報を新規予約として立ち上げ、ホテルのシステムに反映するスタッフのこと
英語必要度レベル
海外からも当然メールや電話で予約するゲストがいる以上英語を使う場面は多いです。
また予約サイトにも海外のものがありますので話すだけではなく、読める、書けるスキルが必要です。
人事
人事部はホテルで働いているスタッフに関しての情報を一手に管理し、スタッフを補佐する部署です。
英語必要度レベル
外資であれば特に、外国人スタッフを雇用することも多いですので英語はしゃべれれば強いです。
ただあくまで裏方の一つなのでフロントスタッフをはじめとするゲストと蜜に接する部署よりは使う頻度は少ないです。
ウェディング
ウェディングは婚礼に関しての予約、営業、運営をする部署です。
英語必要度レベル
外資であっても外国の方が結婚式を日本でするという場面は滅多にないので英語はほぼ使いません。
経理
経理はホテルの運営で出た収益をまとめる部署です。
英語必要度レベル
経理は英語よりも帳簿を読めるスキルなど「数学系」のスキルが重要です。
もしホテルの経理に興味がある人は簿記などのスキルを磨くほうが良いかもしれません。
施設管理部
施設管理部はホテルという建物自体を少しでも良くしていくために修繕などをする部署のことです。
英語必要度レベル
外資ホテルであるなどの場合は必要かもしれませんが基本的にはやり取りする業者も日本の業者ですので英語は必要ありません。
マーコム
マーコムとはマーケティングコミュニケーションの略、いわゆる「広報」です。
最近は特にSNSを使って集客する場合も多いです、ホテルの公式SNSはだいたいこの「マーコム」が管理しています。
マーコム:Marketing Communication
マーケチング・コミュニケーションの略、SNSなどを管理したり、ホテルに少しでもゲストに来ていただけるよう戦略を組み立てホテル運営に役立てる部署
英語必要度レベル
外資系ホテルと日系ホテルで異なります。
僕の働いているホテルは外資なので海外ゲストのために英語広告の割合が多かったりしますので英語必要度はそれなりに高いです。
ばとらー流オススメ英語術

英語がニガテでもゲストとのコミュニケーションの中でどうしても英語を使わなければいけない場面があります。
特に外資ホテルの場合は社内のメールは基本英語、ホテルのシステム、PCの設定んもすべて英語である場合があります。
そんなときどうすれば良いのでしょうか。
頻出センテンスは丸暗記!!
よく使う文は基本丸暗記です!!
例えば、「お名前をお伺いしてもよろしいですか?」は「Could you tell me your name?」
「他になにかご用はありませんか?」は「Is there anything else I can do for you?」など。
あとは状況に応じて、覚えている分を若干変えて言うだけ。
「なにか必要なモノはありませんか?」→「Do you need anything else?」など。(anything elseを覚えておくとこのように変換できます。)
できるだけ簡単な英語で
海外からのお客様は何も英語が話せる人だけではありません。
今はむしろ英語が話せない中国や韓国の方々のほうが多いかも。
無理をして高度な言葉を使うのではなく、少しでも簡単な単語を使ってしゃべりましょう。
「何か問題がありましたら、いつでもご連絡ください」であれば「Please feel free to contact us if you have any problems.」となるところ、
「Please contact if you have problem.」これだけ簡単にしても通じます。
この2つの技術さえ磨けば大概の英語は話せます。
(ただ少なくとも暗記+中学校英語の復讐くらいは必要になりますが…)
どうしても英語がニガテなら
もしどうしても英語がニガテでホテルマンになるのが不安なのであれば、
何かしら努力しましょう。
中学、高校時代にやっていた英単語帳を見るなり、英会話スクールに通うなり。
何もしないといつまでたってもニガテのままです。
ちなみに僕も英語がニガテでした。(今でもニガテです)なので僕は英会話カフェに通ってました。
英会話カフェに行きだす前は普通の英会話スクールに行ってたんですけど、宿題やらなんやら多くて。
しかもホテルマンはシフト制なので決められた曜日の決められた時間って難しいんですよね。
この英会話カフェは予約も必要ないし、コーヒー飲みに行く感覚で行って少ししゃべって帰ることもできました。
今なら無料体験もできるみたいなので少しでも英語を上達させたい人、英会話スクールが合わない人は試しに行ってみると良いかもです!!
※無料体験は予約が必要なので予約してから行ってくださいね。
英語よりも大事なこと
英語は確かに大事です。
特に「将来は海外で働きたい!!」と思っている人や、「少しでもキャリアアップをしたい」と思っている人は英語を磨きましょう。
ただ一つ言えるのは「英語」ができなくてもホテルマンにはなれるということ。
ホテルにはさまざまな部署がありますし、何も英語ができることが正義というわけじゃないんです。
なので英語が苦手な人でもホテルで働くことは「可能」ですよ。