

なかなか良い質問ですね
いまいち線引きがわからないのよね
どっちなのー!?ってなる
おはようございます、ばとらー(@butler_1234)です。
今回はこんな質問。

ホテルと旅館って確かに線引きが曖昧ですよね。
旅館は和室でホテルは洋室、違いってそれだけなんでしょうか?
経営の方式だったり部屋の作りだったり、他に違うものはあるんでしょうか?
実は僕もあいまいでした、元々知識としては知っていたんですけど、少し前に変わったんでしたね、すっかり忘れてました。
なのでホテルマンが (調べたうえで) 詳しく解説していきます。
旅館とホテルの違いとは?
ホテルといえば美しいロビー、豪華な客室、ビュッフェスタイルの朝食が主で、旅館といえば昔ながらの和室にお布団、大浴場に夕食はお部屋でといった形式が主です。
現在ではホテルでも「和洋式」といった洋室と和室が混在している部屋だったり、「和モダン」といって洋室でありながら和室ならではの障子や布団(ベッドの低いタイプ)が常備されていたりと様々です。
どこで線引きをすればよいのでしょうか?
答えは「法律」にありました、笑
なんで過去形??
法律が違うってほんと!?
半分ほんとで半分うそです、笑
昔は決まってました。
そもそもホテルや旅館を運営する上で避けて通れないのが「旅館業法」という法律。
その旅館業法のなかでそれぞれこんなふうに定義されていました。
旅館業法 第二条 二項
この法律で「ホテル営業」とは、洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。
引用:旅館業法
旅館業法 第二条 三項
この法律で「旅館営業」とは、和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。
引用:旅館業法
具体的な決まり
より具体的なお話が法律に書いてあります。
ホテルと旅館ではその設備に若干の違いがあるんですね。
まずはホテルの決まりから。
旧旅館業法施行令
第一条旅館業法(以下「法」という。)第三条第二項の規定によるホテル営業の施設の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一 客室の数は、十室以上であること。
二 洋式の構造設備による客室は、次の要件を満たすものであること。
イ 一客室の床面積は、九平方メートル以上であること。
ロ 寝具は、洋式のものであること。
ハ 出入口及び窓は、鍵をかけることができるものであること。
ニ 出入口及び窓を除き、客室と他の客室、廊下等との境は、壁造りであること。三 和式の構造設備による客室は、次項第二号に該当するものであること。
四 宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他これに類する設備を有すること。
五 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること。
六 宿泊者の需要を満たすことができる適当な数の洋式浴室又はシャワー室を有すること。
七 宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること。
八 当該施設の規模に応じた適当な暖房の設備があること。
九 便所は、水洗式であり、かつ、座便式のものがあり、共同用のものにあつては、男子用及び女子用の区分があること。
十 当該施設の設置場所が法第三条第三項各号に掲げる施設(以下「第一条学校等」という。)の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。以下同じ。)の周囲おおむね百メートルの区域内にある場合には、当該第一条学校等から客室又は客の接待をして客に遊興若しくは飲食をさせるホール若しくは客に射幸心をそそるおそれがある遊技をさせるホールその他の設備の内部を見通すことを遮ることができる設備を有すること。
十一 その他都道府県(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市又は特別区。以下同じ。)が条例で定める構造設備の基準に適合すること。
引用:旅館業法の改正について
まとめるとこんな感じ。
- 客室の数は10室以上
- 部屋面積は9㎡以上、寝具は洋式、出入り口と窓は施錠できるもの、客室、廊下との境は壁造り
- 宿泊者確認のためのロビー、広間がある
- 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備
- 宿泊者の需要を満たす適当な数の洋式浴室又はシャワー室
- 宿泊者の需要を満たす適当な規模の洗面施設
- 施設の規模に応じた適当な暖房の設備
- トイレは水洗式、座便式のもの、共同用の場合男子用及び女子用の区分がある
目がチカチカする
続いて旅館の決まり。
旧旅館業法施行令
法第三条第二項の規定による旅館営業の施設の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一 客室の数は、五室以上であること。
二 和式の構造設備による客室の床面積は、それぞれ七平方メートル以上であること。
三 洋式の構造設備による客室は、前項第二号に該当するものであること。
四 宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他これに類する設備を有すること。
五~八(略)
九 当該施設の設置場所が第一条学校等の敷地の周囲おおむね百メートルの区域内にある場合には、当該第一条学校等から客室又は客の接待をして客に遊興若しくは飲食をさせるホール若しくは客に射幸心をそそるおそれがある遊技をさせるホールその他の設備の内部を見通すことを遮ることができる設備を有すること。
十 その他都道府県が条例で定める構造設備の基準に適合すること。
引用:旅館業法の改正について
まとめるとこんな感じ。
- 客室の数は5室以上
- 部屋面積は7㎡以上
- 宿泊者確認のためのロビー、広間がある
- 以下略
注意!! 法律の決まりもう古い!?
ですが平成29年12月8日旅館業法の一部を改正する法律が成立しました。
これにより今までホテル営業と旅館営業を分けていたものが、旅館・ホテル営業へ統合され、実質的な違いはなくなっちゃったんですね。
具体的には
新旅館業法施行令
第一条 旅館業法(以下「法」という。)第三条第二項の規定による旅館・ホテル営業の施設の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一 一客室の床面積は、七平方メートル(寝台を置く客室にあつては、九平方メートル)以上であること。
二 宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他当該者の確認を適切に行うための設備として厚生労働省令で定める基準に適合するものを有すること。
三 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること。
四 当該施設に近接して公衆浴場がある等入浴に支障を来さないと認められる場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の入浴設備を有すること。
五 宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること。
六 適当な数の便所を有すること。
七 その設置場所が法第三条第三項各号に掲げる施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲おおむね百メートルの区域内にある場合には、当該施設から客室又は客の接待をして客に遊興若しくは飲食をさせるホール若しくは客に射幸心をそそるおそれがある遊技をさせるホールその他の設備の内部を見通すことを遮ることができる設備を有すること。
八 その他都道府県(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市又は特別区。以下この条において同じ。)が条例で定める構造設備の基準に適合すること。
引用:旅館業法の改正について
まとめるとこんな感じ。
- 客室の面積は最低7㎡以上
- 宿泊者確認のためのロビー、広間がある
- 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備
- 宿泊者の支障をきたさない程度の入浴施設
- 適当な規模の洗面施設
- 適当な数のトイレ
実質的な違いは名前だけになってしまいました。
注意しなきゃいけないのは、ホテル・旅館は一緒でも宿泊する場所を多人数で共用する「簡易宿所営業」や一ヶ月以上の期間を単位として宿泊させる「下宿営業」は異なる規定がありますので注意です。
これらを営む場合は違った規定に従わなければなりませんので覚えておいてくださいね。