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[ホテルマン×病気]「先天性眼振」の僕

my eyes

「先天性眼振」これが僕の病名。

生まれつき目に病気がある。

ときには生活に支障がある。

それでも僕は生きている。

子どものころはつらかった。

「他の子と自分は違う。」そう思った。

今はどうだろうか。あまり考えたことはない。

昔よりは上手く生きているのかもしれない。

「先天性眼振」とは

眼振とは
眼球がけいれんしたように動いたり揺れたりすることの医学的な名称です。無意識で規則的にリズミカルに動いたり、振り子のように往復運動がおこったりします。眼の動きを上手にコントロールできない場合に起こり、両眼にみられることが原則です。眼振はさまざまな原因でおこります。

引用:日本弱視斜視学会

乳児眼振(先天眼振)とは
生後間もない乳幼児期早期から眼振があることを意味します。眼振は揺れのタイプで衝動眼振と振子眼振に分けられます。衝動眼振は行きと戻りの揺れの速度が異なるタイプで、振子眼振は行きと戻りの速度や揺れの幅がほぼ等しく、時計の振り子のような動きをするタイプです。衝動性眼振は物をよく見ようとしたり、精神的ストレスがかかると悪化することが多く、寄り目や目を閉じると少し改善する場合があります。振り子様眼振は著しい低視力の場合に見られ、何らかの眼の先天異常からくると思われます。

引用:日本弱視斜視学会

生まれて間もなく、最初に気づいたのは母だったらしい。

「目がおかしい。」

すぐ病院に連れて行かれた。

僕は生まれるとき、破水してもなお出てくる気配がなく、お医者さんに「何か障害をもって生まれてくるかもしれません」と告げられたそうだ。

そんなもんだから、母は相当悩んだらしい。

母から言葉として聞いたことはなかったが、祖母から聞いた。

いろいろ検査はしたが特に異常はなく、「何かまた不審な点があれば来てください。」という言われ、その場は収まった。

特にその他で異常はなかったので、病院にも行かず子ども時代を過ごした。

改めて病名を知ったのは大学生の頃。

たまたま母が家の近くに眼振の専門病院があるのを見つけた。

「近くにあるのは何かの運命だな。」

そう思って病院に行った。

そこで告げられたのが「先天性眼振」だった。

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症状

症状
  • 目が振れる
  • 焦点が合わない
  • まっすぐ前を向けない

目が振れる

とにかく目が振れる。

僕は「衝動眼振」というタイプだそうで、普段はそんなでもないが、緊張したり、何かを凝視すると目が小刻みに揺れる。

結果、ぼやけて見えなくなる。

何か前に出て喋ったり、車を運転したり、緊張する場面になると起こる。

車の運転なんて恐怖だ。
(そもそも運転免許を取れたのが奇跡だが)

普通の道路なら問題はなかった。

問題は首都高である。

ただでさえ緊張しているのに、首都高は僕の目にとって情報量が多すぎる。

そのために緊張は増し、目の振動も増大する。

サイドミラーに映る車がぼやけて何台後続車がいるのかわからなくなる。

焦点が合わない

生活していく中で目が振れない位置があるのがわかった。

ただその位置は目の中心から遠く離れた位置に存在する。

その位置に目を持ってくれば目が振れることがないため、人前でしゃべったり、車を運転したり、何かを凝視するなど緊張する場面ではその位置に目を持ってくる。

結果こうなる。

まっすぐ前を向けない

揺れない位置に目を動かす結果、まっすぐ前を向けなくなる。

これが子ども時代の僕を悩ませる一番の問題だった。

みんなと写る写真は僕だけ顔が前を向くことはなく、周りの子は笑顔なのに僕だけうつむきがちになる。

母は「クセだからしょうがない。」と言った。

僕も自分にそう言い聞かせてきた。

周りの子にも「クセだから」と説明し、写真はできるだけ断った。

だから僕には思春期の写真がほとんど残っていない。

周りの子が僕の「クセ」を理解し、いじめに発展しなかったのが唯一の救いであった。

治療法

治療・管理
眼振を完全に治療する方法はなく、眼鏡、プリズム療法、薬物療法、手術療法などで症状の緩和を目指します。顔を著しく回して物を見ている場合や、内斜視が強い場合は手術療法が行われることがあります。眼に異常があることがわかれば、もとの異常を治療します。治療ができない場合や、治療をしても視力が悪い場合には、少しでも見えやすくするための方法を眼科で相談できます。

引用:日本弱視斜視学会

僕の病気は治ることがない。

一生付き合っていく病気だ。

専門の病院に行った当時そう言われた。

そのころになるとなんとなく理解はしていたし、まぁいいかで済んだ。

一応治療法はあった。

完治はしないものの、目の揺れをなくす手術だったり、焦点を目の中心にずらすプリズム眼鏡だったり。

ただその手術が目の裏側にある筋肉を紐のようなものでけいれんするのを抑えるもので、それをしてしまうと目を動かせなくなる。

寄り目をしたり目の端に黒目を動かすことができなくなり、黒目が目の中心に固定されてしまう。

またプリズム眼鏡は安いものでも8万から10万はすると言われた。

そもそも僕は病院が苦手だ。

血を見るだけで失神しそうになるし、注射ですら逃げていた。

手術の選択肢はなかった。

また大学生の8万円は相当な痛手である。それに大学生からある種の「矯正」をするのは遅い、もしかしたらそんなに改善しないかもしれないと。

僕は病気と共に生きることを選んだ。

病気との向き合い方

かっこよくは言ってみたもののそんなたいしたことではなかった。

大学生にもなれば、ある程度自分の中で「クセ」の対処法を見つけていたからだ。

まず目が揺れていようととにかく前を向く。

鼻を相手に向くように意識して目を長く閉じたりしてやり過ごす。

そのうち目が前を向くことに慣れてくる。

そうすれば前を向きながらでも目が揺れることは昔よりもはるかに減った。

また緊張する場面、車はともかく人の前に出て話すことはいずれ出くわす。

就職試験では面接があり、会社に入ればプレゼンをする。

ともなれば前もって緊張に慣れる、もっと言えば、緊張しなくなれば、目が揺れることはない。

そう思い、僕は塾講師をアルバイトに選んだ。

子ども相手ではあるものの人に対して何かを話すことに変わりはない。

実際、子どもに教えることはとても楽しく、いつしか教壇に立つことにも慣れ緊張することもなくなった。

そのころには目の揺れも気にならなくなっていた。

そんな僕がホテルマン

今では人前に出ることが嫌いではなくなった。

それこそ昔は写真に写ることが嫌いで(今でも嫌いだが…)、人前に出ることが嫌いで、自分自身が嫌いだった。

ときに緊張から症状が表に顔を出すこともあるが、なんとか乗り切っている。

写真が嫌いでも、人前に出ることが嫌いでも、今はこうして接客サービスをやっている。

昔の僕が見たら、さぞ驚くだろう。

「先天性眼振」のお子さんを持つお父さん、お母さんへ

もしかしたら将来、「クセ」のせいで就職に影響したり、人と付き合えないのではないかと思う方もいると思います。

僕の父や母がそうでした。

特にサービス業では印象が命です。

まっすぐ前を向けないのは致命傷になるかもしれません。

ですが実際、僕はまっすぐ前を向くことができませんでしたが、サービス業に就いています。

もちろんそれなりの対策は必要だと思いますが、一概にその「クセ」が将来に影響すると決めつけるのは早いです。

下を向かないで前をまっすぐ向いてください。

Fin